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ITEM • Richard D. James speaks to Tatsuya Takahashi (JP)

Richard D. James speaks to Tatsuya Takahashi (JP)

リチャード・J・ジェイムズが元KORGエンジニアをインタビュー。KORG monologueでのコラボレーション、マイクロチューニング、幾何学や夢などについて語っている。KORGだけを使ったトラック「KORG FUNK5L EDIT」も公開されている。高橋達也は現KORGアドバイザーであり、Yadastar GmbHにフルタイムで勤務。テクノロジーをベースとしたプロジェクトで活躍している。彼の東京の自宅は、黒坂明美によって撮影された。
14/07/2017

Richard D. James:君との作業、すごく楽しかったよ。俺がプロジェクトに関わったのは最後の方だけだったけど、本当にエキサイティングだった。まともな仕事って感じだったね(笑)

Tatsuya Takahashi: リチャード、モノローグを使ってあなたと共演出来たのは素晴らしい経験でした。で、今はあなたにインタビューを受けている?!?ありえないな。でもすごく楽しい。モノローグは、僕が直接開発に関わった最後のコルグ・シンセでもあったんです。その最後を飾るのにふさわしくもありました。

RDJ:あれは、今市場に出ている唯一の全マイクロチューニング編集のシンセサイザーでもあるしね。おめでとう!

TT: ありがとうございます!でも、マイクロチューニングを使ったのはまぎれもなくあなたがいたからです。あなたが言わなければ、僕はあのパワフルさに気づくことはなかったと思う。あれに気づく瞬間があったんですか?マイクロチューニングを発見する引き金になったものがあったとか?

RDJ:最初にチューニングのことを考えたのは、まだ音楽を初めて間もない頃、Yamaha DX 100を触っている時だった。あれは、俺が貯金して買った最初のシンセなんだ。440Hzにマスターチューニングされているのを見て、変えようと思ったのを覚えているよ。理由は特になくて、ただ単に自分で変えたければ変えられるフリーケンシーにセットされていただけ。

単音をセレクトするためだけに使って、そしてマスターチューニングを調整して、それを基盤にトラック全体を作った。それからずっとそうしてきたんだ。直感でそうしようと思ったし、そこにはちょっとした反抗心もあったかもしれない。すごく単純なことさ。国際的にスタンダードなセッティングを基に自分が曲を作りたいか、それとも自分がしっくりくる音を作りたいか。

そこから、俺はその馬鹿げた440Hzについて学ぶことにした。1939年に西欧の政府が発表した基準だとわかって、自分の直感を信じて本当によかったと思ったね。他の声に耳を傾けるということは、創造性において最も大切なことで、それはエンジニアでもミュージシャンでも同じさ。テスラが外の意見を聞くということに関して良いアドバイスを残していている。偉大な発明家の一人なのに、イギリスの学校では彼のことは教えられない。変だよな。

TT: 教育でなぜその部分が何故大きく取り上げられないのは僕にはわからないけれど、テスラのコイルは確実に素晴らしい。オーディオ・シグナルでハイ・フリーケンシーを調節すれば、音楽をプラズマでプレイすることが出来る。それって最高にクールですよね。もっと彼のことを勉強しないと。彼の人生や思想について、僕はあまりよく知らないんです。

RDJ: 面白い"ノート"(記号と言う意味と、音符という意味がある)があってね、俺は電子楽器に関する1940年代に出版された本を読んでるんだけど、それには、440Hzが色々なフリーケンシーで24時間送信されていて、その他は深夜から午後虹まで送信されていたと書いてあった。そう、つまり、自分の楽器のチューンは変えられる。その状態で良い子のままそれに従うか、自分の実験用機材のためにそれを調整するかは自分次第ってことだな。

すごく単純なことさ。国際的にスタンダードなセッティングを基に自分が曲を作りたいか、それとも自分がしっくりくる音を作りたいか。

RICHARD D. JAMES

でも、オランダのフィリップスの研究所の研究に関しても読んだんだが、オーケストラの440Hzからの狂いは平均的に多くのコンサートで測定されていて、数Hzの差で違ってくるらしく、普通は多少低いらしい。それくらいの違い、本当にどうでもいいよな。人の中には、440Hzを着実に守って実行することに明らかにこだわっていた人たちもいたってことさ。

なぜ440Hzが最初の時点で選ばれたかという理由がまた面白い。でも、まずは水と音の共鳴音について読んでみた方がいい。もしくはサイマティクスだな。もしサイマティクスをあまり知らないなら、そっちから始めた方がいい。

TT:TT:沢山のことが共通化されていて、自分がそれを使い始める前からその基準は存在するから、僕たちはあまり深く考えることがない。440Hzは、人々が一緒に演奏するための方法として提示されたわけで、もちろん、その基準があるからギターをピアノに持ってきて、それが機能する。

それって、青信号だったら道を渡っていいとか、首を横に振ったらノーという意味とか、そういうのと同じみたいなものですよね。その二つの基準は、世界中でずっと自分の役に立つだろうけど、創造の世界で基準を強要するのは危険。僕の息子は日本で学校に通い始めたんですが、そこでは子供全員が太陽を赤に塗るんです。でも、これはかなり滅茶苦茶な標準化!色々なレベルで本当に無茶苦茶だと思います。

まあとにかく、僕は432Hz vs 440Hzのディベートにそこまで熱くはならないことにします。(ところで、僕はサイマティクスが本当に大好きで、それに関して子供達を招いて良いワークショップをやったことがあります)でも、フリーケンシーが変わればサウンドも変わるとは思うんですよね。それなら、自分の音楽でそれを使えばいいのにって思うんです。自分がしっくりくるものは何だって使うべきだと思うし、モノローグはピッチで本当に自由なことが出来る。

RDJ: そうだね。

TT: 基準といえば、48Hzのサンプル・レートというのは、サンプリングと信号処理における基準の一つですが、ヴォルカ・サンプルは31.25kHzという変わったものを使っている。これは純粋に技術の制限が理由ですが、僕は、それこそがあなたがヴォルカ・サンプルをあそこまで気に入った理由の一つなんじゃないかと考えていました。他と違うサンプル・レートというのは、ユニークなサウンドを生み出しますからね。

RDJ:はは。そう、それは正に俺が一番最初に気づいたことだった。その48kHzは、ナイキストの定理から来ていると思っていた。あれは、どうやら人間が聴くことが出来るものの二倍だと思う。それもまた変だよな。誰がどうやって人間が20kHzしか聴こえないとはじき出したんだか。だって、20kHz以上が聴こえないとしても、自分の身体がそれを感じないというわけじゃない。音というものは、鼓膜だけで体験するものじゃないからね。これに関する良い例は、自分自身の声のレコーディングしたものを聴くこと。この世で一番のナルシストじゃない限り、ほぼ全員にとってその音はちょっと変わって、もしくはより薄く小さく聴こえる。自分の胸と身体で震えを感じないからそうなるんだ。他にも理由はあるけれど、これは確実にその一つ。とにかく、俺はオーディオ・スペクトラムの極致にものすごく興味がある。超鮮明なものもそうだけれど、俺はおそらく、もっとぐちゃぐちゃでハッキリ聴こえない、低ビットで70年代っぽいサウンドの方が好きなんだよな(笑

TT: 基準に反するものといえば、僕がYamaha SK-10を初めて弾いた時のことを思い出しました。フェーダーは全て上下逆で、まるでマックスが下向きといった感じで、ボリュームさえもそうだった。僕はいったい何がどうなっているのかわからなくて、最初はうろたえてしまったんです。でも、実はそれがちょっと楽しくて、それが全てオルガンの引っぱり棒から来ているとすぐに気づきました。

RDJ: SK-10はまだプレイしたことがないんだ。でも、俺が使っているCalrecのミキサーもそんな感じで、フェーダーが逆なんだよ。中に小さなスイッチが埋まっていて、それを変えれるようになっている。でも、それはテレビや放送のためにそうなっているんじゃないかと思ったんだ。そうじゃないと、もし誰かがデスクで寝てしまった時、フェーダーが上に上がって200万台のテレビが一気に変形してしまうからね。頭蓋骨が麻痺しそうなくらいつまらないテレビが殆どのことを考えると、彼らがこの安全装置を持っていることは驚きではない。

TT: 確かに!でも、押しているというより引いているという明らかな感覚がありますよね。オーガズムが、英語では”来る”といっても日本では”行く”(イク)と言うみたいに。

RDJ: それは考えたことなかった。

TT:日本では、文字は縦書きで書かれていました。でも、今では多くが西洋化していて、殆どが横並びなんです。

RDJ: それはちょっと悲しいな…つまり、伝統的な日本の文字はTrackerみたいで、今はそれがCubaseみたいになってきているってことだな!(笑)

TT: もし70年代にMoogをコピーしていなかったら、日本のシンセはどんな風な形になっていたのかなと時に考えるんです。“しきたり”とは何か、そして素晴らしいデザインとは何かを考えることは必要ですよね。

RDJ:日本のキーボードは一台持っているんだ。SUZUKIで、日本のチューニングが施されていて、片側にちょっとしたストリングが付いていて、弾けるようになっている。音もすごく良いんだよ。日本の素晴らしいパーカッションとMIDIもついているんだ。あまり知られていないと思う。

フェーダーが水平と垂直に曲がっていたらいいんだけどね。そうすれば、二重らせんに出来て、上にも下にも動かせる(笑)拡張されたUIを使えばそれが出来るのかもしれない。

TT: それが出来たらクールですね(僕が正しくそれを想像出来ていればの話ですが)!カメラのレンズフォーカスの回転センサーを見たことがあるんですけど、湾曲した表面やすごく薄い部分でフェーダーのように機能するんですよ。あれもいいかもしれませんね。

RDJ: 後になってRoland SH-101を手に入れた時、そのチューニングがDX100と全く違っていることに気がついた。1v/オクターブに基づいていて、平均律になっている設定だった。でも、アナログの性質上、正確にそうではなかった。俺は、そこが心の底から気に入ったんだ。DX100のかたまった12平均律と重なっているのも良かったね。

最近、俺が不適切に目盛りの付いたお気に入りのSH-101に合わせたモノローグをチューニングしたんだ。最初に試したのは、Scalaの中にある使い慣らされた処方だった。でも、シンプルな計算でそれを正確に表現するのは不可能で、Scalaはキーボード・マップ・チューニング・ファイルでない限りそういったタイプのチューニングに対応出来ない。この”誤った”チューニングは、正確にチューニングされたフルのマイクロチューニング機能を持つデジタル・シンセにそれを会わせる時にすごくに役立つ。キーの外れた101みたいに聴こえるデジタル・シンセを作るには最高だね。

TT: ピッチの不一致をプログラム可能なパラメーターにする新しいProphetに"SLOP"のようなつまみがある時なんて、僕たちが生きている時代を感じますよね。一方でコントロールのレベルが素晴らしいと思っても、もう一方ではしっかりしたもののレベルを敢えて下げることに違和感を感じる。特に、それが完璧なものに出来るだけ近い何かをデザインしようと骨を折っている若手のエンジニアの場合は、それを理解するのは難しいかもしれない。これに関して一番勉強になったのは、MS-20の開発者、三枝文夫の言葉でした。僕にとってのKorgのヒーローです。僕の最初のシンセの回路図を見て、彼が言ったんです。「高橋くん、君の巡回は機能的だね。でも、音楽的じゃない。楽器というものは、完璧な波形である必要も、正しい作用点である必要もない。そのありのままの形のために、トランジスタを使う必要があるんだ。音さえ良ければ、それでいいんだよ」と。

僕の最初のシンセの回路図を見て、彼(三枝氏)が言ったんです。「高橋くん、君の巡回は機能的だね。でも、音楽的じゃない。楽器というものは、完璧な波形である必要も、正しい作用点である必要もない。そのありのままの形のために、トランジスタを使う必要があるんだ。音さえ良ければ、それでいいんだよ」と。

TATSUYA TAKAHASHI

RDJ: 昔の君からのメールで何度か”SLOP”という言葉が出て来ていたから、SLOPについて君に聞きたいと思っていたんだ。今それが理解出来たよ。なんというか、最初にそのサウンドが良く聴こえれば、そのオプションはいらない。でも、OSC(OpenSound Control)の抜けた感じが好きな人もいれば、好きじゃない人もいる。内容によると思うね。あと、もし君がFMをやっていたら、それを完全に正しいままキープしたいと思うし、アナログが主なサウンドであれば、かなり緩い感じにしたいだろうし。まあとにかく、さっき言ったように、俺はモノローグの漂うようなサウンドが本当に、本当に素晴らしいと思う。動きそうに見えて、枠はこえることは決してない。説明した方がいいかな?俺にとっては、ある時点でリセット、もしくは同期かされるように聴こえるんだ。それに関してきちんと勉強したこともないし、聴いただけだから間違ってるかもしれないけどね。少しだけArpの発振器を思い起こさせる。あの発振器にはすごく良い放浪感があって、多分俺のお気に入りの一つだと思う。

TT: その通り!minilogueやヴォーカルにも同じことが言えますよね。その発振器には使われていない時に再チューニングされている。あなたがあれを好きを言ってくれて嬉しいです。これは、すごく主観的なことですからね。オートチューンはある意味済まされていて、僕にとっては良かったです。だから、それはすごく主観的なことだし、それが良かったと他人を説得するようなレポートをプレゼンすることも出来ない。でも今は、少なくとも、リチャード・D・ジェイムズがそれを良いと言ったということは言えますね!

RDJ: 1v/オクターブに関してもう少し話したいけど、それはまた次回にしよう。今はとにかく質問に戻ることにするよ。俺は常にサウンドに興味を持ってきたし、それがどう自分に影響しているかに興味をもってきた。特にチューニング。その前もちょっとした散乱したサウンドはあったけれど、自分で全てをチューニングしたアルバム『Selected Ambient Works Vol. II』までは、そこまで興味をもったことはなかったんだ。

ちょっとした変わったバランスを発見して、時に”正しく”チューニングすることで、そのバランスが俺にとっては風変わりさを軽減すしてしまう。まあ、話せば長くなるんだが。

TT: わかります。どこかで人間が左耳と右耳でそのようにピッチを聴き分けるかを読んだことがあるんですけど、あなたにはそれがない。すごく面白いですね。

RDJ: だって、俺たちはチューニング・テーブルを編集するのにすごく直感的だったからね。その特性だけのためだけにこのシンセを買うと思う。エクスポートが実行される時、それは完全なテーブル創作、もしくは既にインポートされたScalaファイル等の微調整の中心に成り得る。

TT: 正にそうです。Scalaファイルを簡単にインポート、エクスポート出来るから、僕は絶対にモノローグ・エディターをダウンロードすると思います。他にもそういった製品が出て来てくれたらいいんですけどね。

直感的なインターフェイスは、全てがあなたのアイディアでした。あれは助かった。あなたのインターフェイスのアイディアは、あなたがマイクロチューニングのために改造したChromaを手に入れた時に出て来たんじゃないかと思うんです。この機能性のために、沢山のシンセを改造したんですか?

RDJ: そうだよ。自分のChroma用のカスタムO.S. Epromsを燃やしたんだ。それで全てのマイクロ・チューニングと編集が可能になる。モノローグ・エディターはそれが基盤になっているんだ。今は、それが可能なハードウェアとソフトウェアの良いリストを持っている。長い道のりだったし、沢山の人を論争したけど、結果的に今ではかなりの量の機材でそれが可能になった。

エンジニアやプログラマーたちからの反応もいいしね。ここ10年で、俺は50以上の人々や会社にコンタクトをとってきた。そのうちの多くが、彼らの全ての機材やプログラムが何百年も前に考案された基準に忠実であることを知りもしなかったよ。

多くのエレクトロニック・ミュージシャンたちにも同じことが言える。先進的で未来的であるはずのエレクトロニック・ミュージックなのにこれはかなり驚きだけど、殆どの人々が、それこそが実は議題であったことにまず気づき、それについて考えることがいかに魅力的かを俺に話してきたんだ。

ポリフォニック・キーボードにおいてマイクロチューニングが断然便利であることはわかっているけど、モノフォニックの楽器でもそれは使用可能だし、将来もScalaと相性のいい他のポリフォニック・シンセで使うことの出来るチューニング・テーブルを作るのにも使うことが出来るかもしれないよね。

TT: 僕の最初の印象は、マイクロチューニングがすごくニッチで大量市場のシンセにとっては必要ないというものでした。特にモノフォニックのシンセはそうだと思いましたが、シーケンスを回しながらチューニングをシフトしようとすれば、微かだとしても、それが異次元を作り出すのが聴こえるはず。僕はピッチやそういったものに超敏感なわけではありませんが、それでもそれが変化するのが聴こえます。僕にとっては、ラフな表現にそれが光を放ち、その光を動かしながら様々な模様を見ている感じがする。なので、急ぎで出来る容易なスケール編集を持っていることは本当に重要でした。Scalaは素晴らしいし、すごく柔軟です。しかし、それがかえって使いにくい時もあるし、リアルタイムの相互作用をとらえることが出来ない。だから僕は、モノローグによってより多くの人々がこういったものにハマってくれたらいいなと願っているんです。

RDJ: 君のその光の例えは好きだな。あれは良い。そう、モノフォニックの楽器では、もし沢山のフィードバックやリヴァーブを使ってディレイを使えば、自分が描写したものが時間を挟まずよりすぐ音に出る。だから、チューニングされた音符が互いに重複するのが確実に聴こえるんだ。

Scalaは深い。本当に深い。でも、中には始めるのにより早くて簡単なものもある。例えば、Equal 24をタイプしてSysExをプレスしてショートカットを送れば、シンセに四分音のチューニングが生まれる。Scalaは直感的ではないチューニングを作ることに関してのみ適していて、純粋に数学的に正確。このアプローチは大好きだけど、俺は直感的にチューニングを作る方が好きだし、音符ごとにそれをやりたい。作曲をしている時、何かに従いながらも存在しないものを生み出すとい二つのコンビネーションが俺にとっては最高なんだ。

TT: あなたが僕にWIlsonicというアプリを見せてくれましたが、あなたはあれが好きなんですよね。あれは、主にフリーケンシーの数学的な関連性の基に構成されている。でも同時に、あなたは多くの試行錯誤を繰り返すということも話していました。あなたのマイクロチューニングに関して、何かこれといった手法はありますか?

RDJ: 沢山あるよ。例えば、Chromaに関しては、俺は一つのキーを押しっぱなしにしてもうひとつのキーを押して、それから2番目のキーを最初のキーに合うようチューニングするのが好きなんだ。超低いものと超高いものといったような全く異なる二つのフリーケンシーのコンビネーションを作る時もあるし、キーボードのマップ上でトップのオクターブにしか存在しない二重のコンボのグループを作る時もある。そこからまた違うチューニングをしたり、多重チューニングをすることもある。全てが一つのチューニング・テーブルで行われるんだ。

このチューニングは、他の誰がやっているのも見た事がない。いくつかのチューニング・テーブルを一つのマップ内で繋げたのは、俺の小さな発明だと思うね。俺は一つのトラック内のチューニングで127音の全ての範囲を使うことが殆どない。モノローグは一度に4つの音をチューニングすることが出来て、それは俺たちが計画していたことだったんだ。これは違ったアプローチで、俺がもっと実験したいと楽しみにしていたことだったんだよ。

TT:あなたが特別に作ったスケールで作った曲が5曲あります。それらのスケールをどうやって思いついたのか説明してもらえますか?

RDJ: それらでどのチューニングを使ったか忘れてしまったよ。コンピューターとハードウェアのフォルダーの中で数えきれないものが漂っていたんだ。俺は音符は作らなかった。多分、それらは俺がScalaで作ったものを使って、それにモノローグで微調整したんじゃないかな。多分そんな感じだったと思う。

TT: あなたが作ったチューニング・ファイルをシェア出来るとしたら、それも最高でしょうね!

RDJ: そうだね。保存されているものも沢山あるし、消えてしまったものも沢山ある。俺は、全てをとっておくタイプではないんだ。最近ではより多くを保存するようになったけどね。年を取ったからなのかなんなのかわからないけど、新しいトラックの全てのセットにおいて、新しく設定されたルールを使うのは未だに好きだな。あと、君がminilogueのためにわざわざ作ってくれた愛すべきMIDIのチューングボックスに関して、もう一度お礼を言わせてもらうよ。本当にありがとう!

TT: お易い御用ですよ!あれは、僕たち全員にとって驚くべき経験でした。(読者の皆さんへ:僕がリチャードから我々のシンセのマイクロチューインングを頼まれ、その時僕たちはそれをプロダクション・モデルでは使わないと思っていたので、僕たちで特注の小さなチューニング機材を作りました。同志であるエンジニアの斉田一樹と僕で、カスタムされたスケールをロードできるMIDIが通るボックスを作りました。入ってくる全てのMIDIが音符とセントごとに(ピッチベンドを使って)転送されるので、あらゆるモノ・シンセでマイクロチューニングが可能になります)あのボックスを試していた時、斉田と僕は度肝を抜かれました。モノローグの中にあるようなシンプルなステップのシーケンサーでのシーケシングは多少固定されているのに、チューニングを色々といじることは本当に自由なんです。あれは、キーボードの再定義のようなものでした。僕たちは微かなものから50のインターバルに分かれるオクターブといったエクストリームなものまで色々と実験し、アルペジエーターで色々とやってみたんです。あれはクレイジーだったし、僕たちが次のシンセにそれを使おうと決めた瞬間でした。

RDJ: それは素晴らしい!アルペジエーターとマイクロチューニングはすごく良いミックスに成り得る。あのボックスに写真を入れたほうがいいな。もし君が持ってなければ、俺がここに持ってるよ。

TT: それ、やったほうがいいですね!今手元にはありませんが、スナップ写真を撮ってもらうことは出来ますか?

RDJ: 添付したよ!

TT: ありがとうございます!Cirklonのためのウッド・チーク、いいですね

RDJ: monologueは見た目がすごく良いと思う。小さくて、とてもキュートで、すごく有能でもある。最初に俺が思ったのは、”うわ、これも付いてないし、あれも付いてない”だった。でも、君がその制限を上手く利用してチューニングしたことに気づくまで時間はかからなかったよ。あれはかなり特別なこと。本当にそう思うね。広域に及ぶ特徴に欠けているということは、全てをよりスピーディーに作業出来るということなんだ。

TT: 最高の褒め言葉です。それは、僕が作業してきた全てのシンセ、ボーカルからモノトロン、モノローグに至るまでにおける一つの考え方なんです。電子楽器に関しては、ソフトウェアで殆どのことが出来るという考えに達していると思います。でも僕は、大は小を兼ねるギアのファンなんですよ。最もシンプルなコントロールこそ、最もクリエイティヴな自由を与えてくれると思うんです。

RDJ: そのアプローチは好きだね。その通りだと思う。俺は、それをモジュラー・セットアップでもやっているんだ。モジュラー・ギアを沢山もっていることはラッキーだと思うけど、今は小さなシンセを作る方が好きなんだよね。他のものは、より考え抜かれた設定に進む段階の前に色々実験するための部屋にしまっているよ。

もちろん俺たちミュージシャンは常に新しいものを作ることに目を向けているし、自分たちが期待するサウンドを作れるかどうかを考える。それはそれでいいんだ。でも、何かを実際にトライしてみる前に先を見すぎてはいけない。まず何かにトライしてみて、デザインの形を理解するところから始めないと。俺はそうしている。自分のエゴや期待をしばらく突き放すというのは難しい時もある。でも、それをやらなければ、新しいことは何も学べないからね。デザインを前もって考えること全てに意味がないと言っているわけではないよ。でも、たまにはただ試しに何かをやってみることも必要なんだ。

TT: だからこそ、あなたとの作業はすごく楽しいんです。僕があなたにプロトタイプを送れば、次の日には駆動回路が実際いかに増加をドライ/ウェットを同時にコントロールするかについての沢山のメールが返ってくる。もしくは、メニューオプションのいくつかがいかに意図された通りに機能しないかについてだったり。あなたは、全てにチャンスを与えるんですよね。全てのメニューオプションを試し、イースターの卵を追い求め、CC34 VCO1のピッチに行き着いたりする。事実、あなたはこれまでで最高のテスト技術者だった。本業は大丈夫なのかなって思いましたけど…

RDJ: (顔を赤らめる)それに関していくつか例を言おう。最初にVolcaのサンプルをチェックした時、速度の足りなさに頭を抱えた。でも、それがレベル・コントロールのモーション・レコーディングと共にどう動いているのかに気がついた時、それがグンと楽しくなった。そして、プログラムが断然早くなったんだ。本当に良いアイディアだよね。すごく気に入っているし、より直感的だし。今は、時々Cirklonでその方法を使うようになったんだ。

TT: あなたはCirklonの大ファンなんですね。"korg funk5L edit"にも使っていますし。あのトラックがどのようにして出来上がったか聞かせてもらえますか?

あなたが僕に送ってくれたギアのリストはこれです。
Korg Monologue x3
Korg MS-20 kit
Korg Poly-61M
Korg Volca keys
Korg Volca beats
Korg Volca sample
Korg Minilogue
My son on vox

これには本当に驚かされましたし、心から感動しました。ここまでギアが使われているトラックは他にないと思います。サウンドに使われた加工に関しても話してもらえますか?これも沢山ありそうなので。

RDJ: そう言ってもらえて嬉しいよ。Korgのギアだけで作ったトラックの中でも、あれはトップだった。俺は密かにシンセ・デモのオタクレベルのファンなんだけど、最近のお気に入りは、主にヴィンテージの80年代のもの!素晴らしい音楽の中には、機材デモとして作られ歌にされなかった愛すべき作品もある。俺はシンセのデモを集めているんだよ。自分が良いと思うものをね。それは分類されていない音楽ジャンルみたいなもので、君とKorgのためにトラックを作るのは、俺にとっては自然なことだった。あと、俺はギアの特定のコンビネーションを選ぶのも好きなんだ。あの魅力が薄れることは決してないね。

俺が使ったVolca Beatsではスネア・モッドをやったけど、ミックス・アウトプットを使った。だから、全てのサウンドを同じ処理で取り扱うことが出来たんだ。多分君にはフルのリストを送ったと思うんだけど…もう一回見てみよう。これがリストだよ。

volca beats > Skibbe 736-5 ミック・プレ [良質なロー&ミッド・サウンド] > BAC 500 コンプレッサー > RTZ PEQ1549 [これは俺が気に入っている方程式に基づいていて、Calrecのオリジナルも持っている。スタンダードな回路デザインだけど、音はスタンダードじゃない] > Calrec ミニミキサー

Monologue [メインのリフ] > ブロンダー・タン EQ [これらの方程式は大好きなんだけど、聞いたことがある人は殆どいないと思う。]

TT: トラックを個々にシェアすることは可能ですか?それを使って何か出来るかもしれないし、沢山の人たちがそれぞれのシンセが各自どう聴こえるかに興味があると思うんです。もちろんあなたにとって差し支えなければで!

RDJ: とってあればそうしたいところだけど、トラックを個々に保存することはないんだよね。そういうクセをつけなければとは思ってるんだけど。Sound Devcies 722にレコーディングしただけなんだ。

TT: 残念!でも、それがまた一つの素晴らしいところですよね。トラックはCirklonでシーケンスされ仕上げられ、ワンテイクでレコーディングされたなんて。

RDJ: Cirklonでデータを様々な方法で視覚化することを以前考えていたんだ。volca fmに関してもそうで、君は各音のスピードの欠如をボーナスに変えることに成功した。あれが他とは違う歪みを加えるんだ。フレーズ全体に動きのある速度を取り入れレコーディングし、それが本当に上手く機能する。

TT: volcaのキーボードは、速度を感知するにはうまく機能してくれることは決してない。僕たちは、スピードを感知するものを作るためにもっとお金を費やすことも出来たけれども、そうしたら、あなたは座ってこう言ったでしょうね。”プレイするには小さすぎる。もっと大きくしなきゃ”って。あるものがその姿とは違ったものであるように強要しようとすることは、より多くの問題を作り出すにはもってこいです。というより、流れを一変させると言った方が正しいかな。

RDJ: それは、必要性と考案の良い例だね。DX7ボイスを自分がデザインしたインターフェイスからの超高速で編集することが実は可能だと解ったときは感動したよ。それが出来るなんて考えた事がなかった。でもそれは可能だし、有効なんだ。それを使って、フルサイズのDX7では作ることはなかったであろうものを沢山作ることが出来た。君には脱帽だよ。

TT: ありがとう!皆典型的なDX7の音を知っているわけで、まあ少なくともプリセットは知っているわけですが、それをちょっと違うやり方で作業すると、沢山の扉を開くことが出来る。オルガン・パッチをvolca fmの上に持ってきてそれを普通にシーケンスしても、アルゴリズムをモーション・シーケンスすれば、それは全く違う次元へと進んです。それは発見であり、楽しい。多くのアーティストたちが発見にどっぷりハマっていると思いますよ。

RDJ: そうだね。トラックを製作している時は、それがどんなに小さなことだとしても、何かを学んでいるべきだという念に駆られる。そこに何も学ぶことがなければ、何をするにも興奮しないんだ。君がDX7を手の内に出来ているのはすごく楽しいし、いいと思う。ある意味究極のウォークマンだよな。将来、MP3プレイヤーとラジオが付いたvolca fmが出来たらすごく贅沢だと思う。

TT: :素晴らしいアイディアですね!それに、MIDIのアーカイブにタップできて、それをFMエンジンでプレイ出来たら、それも最高だと思います。

RDJ: MP3からのピッチトラッカーもいいかも!

TT: 更に上を行きますね!リアルタイムのマイク・インプットも出来るかもしれない。皆があなたに挨拶しているとしても、あなたにはそれがベルの音とか何か別のものに聴こえるとか。

RDJ: 最近、あるアプリのプログラマーをやっている才能ある友人に、進化的且つ遺伝的なシンセを使ってオーディオやライブオーディオをDX7パッチに再合成してみたらどうかと提案したんだ。すごくクールだと思う。彼はそれをRaspberry Piの独立型アプリにしようと作業していて、それはアンドリュー・ホーナーのヴィンテージ・コードに基づいている。KymaもGA合成のために彼のコードを使っているんだ。俺たちがそれに精を出している間は止めてほしいけどね。

TT: あなたから消費者向け製品のアイディアを聞くなんて面白いですね(笑)

RDJ: :) はは。アイディアでいっぱいだよ。この男みたいにね。

TT: はははは!たまげましたね。

トラックを製作している時は、それがどんなに小さなことだとしても、何かを学んでいるべきだという念に駆られる。そこに何も学ぶことがなければ、何をするにも興奮しないんだ。

RICHARD D. JAMES

RDJ: デザインされていたもの、もしくは君が考えていたものと完成したmonologueは、どう違うと思う?

TT: まず、マイクロチューニングがないですよね。

RDJ: :)

TT: 僕が最初にプロダクトのプランを思いついた時、あまり詳細は決まってなかったんです。僕の場合、どのプロダクト計画もそうなんですけどね。例えば、"monologueやmonologueより小さい"とか、そんな感じです。デザインとプロトタイプを始めるだけで、後に色々なものが一つになってきます。"どんなフィルターが必要か"とか、"ディストーションは必要か?"とか、"バッテリーパワーがいいんじゃないか"とか。

RDJ: デザインされていても最終的に使用されなかった特性があれば、それが何だったか聞かせてくれるかな?

TT: 消される前からきちんとデザインはされたものは、これといってなかったんですよね。チームはテスト・ヴァージョンをまとめるのが得意で、フルで実行する前にそれが機能するかを判断することが出来たんです。

アイディアに関して言えば、あなたのものにらいくつか素晴らしいものがありました。

  • プログラムネーム編集用アルファベット・マッピングにキーボードをつける
  • ランダムなシーケンス・ジェネレーター
  • ランダムなスケール・ジェネレーター
  • ポジション・コントロールをシーケンスするための速度

チームはおそらく他のものを持っていたと思います。アルペジエーターがその中でも一番明らかでした。でも、僕たちはそれを使わず、キートリガー・シーケンスを代わりに加えたんです。

RDJ: いつ、どうやって君のチームが求めていた特性が機能しないとわかるんだい?それってフラストレーションだったりするのかな?

TT: 誰かがそこに立って、それが機能するかしないかということを決めているわけではないですからね。僕たちは、それがどうやったら一つの楽器としてまとまるかを明らかにしようと心がけてます。そうすれば、白熱した議論の中である一つの特性にフォーカスが置かれることもある。でも、実際は全てがまとまるかどうかであり、それと同時に、まとまらないことも良い意味でサプライズなんです。人々に、彼らがやったら面白いだろうと期待していることから離れてもらう必要もある。チームは常に少人数で、だからこそ、厳格な決断を下すことなく作業が進行出来る。でも、同時に民主的にもならないんです。僕らは、特性に関して投票したことは一度もないんですよ。

RDJ: :Korgが、リミテッド・エディションで俺たちのような贅沢なミュージシャンたちのために手抜きされていない君のデザインの高価バージョンをリリースすることは可能かな?

TT: もちろん。その可能性は確実にあります。あなたの希望リストは?

RDJ: それは難しい質問だな。それに関しては考えてから後で答えないと。さっき話していたようなものから始められたらと思うけど。家にスタジオはあるかい?その写真はある?か、君のセットアップを描いたものとか?

TT: スタジオとは言えないですが、ワークショップみたいなものはあります。そこで自分のライブ・セットアップのものを組み立てたりしますね。僕が最近手がけた製品は、殆どそこで作られています。僕が気に入っているひとつは、monotribeのオーディオインプットに入り込んでいるvolca fm。改造されているから、VCOを消すことができるんです。僕はfmのスローなコード展開にそれを置き、monotribeを使ってそれと一緒にシーケンスの作業をしています。volca fmをmonotribeに同期させないほうが、実際良いんですよ。

RDJ: いいね。俺は、TX802のために8つのアナログフィルターを常に揃えようとしているんだ。アナログ・フィルターの付いたまともなFMシンセはこれまで誰も作っていないし、シンプルなFMものはいくつかあっても、4OP+はないからね。

TT: (写真を見て)素晴らしい。他に見ないスピーカーのセットアップだな!俺は天井からぶら下がったスピーカーが大好きなんだけど、最初に自分で作ったスピーカーは、タールを詰めて、それを寝室の天井からナイロンの紐を使ってぶらさげたんだ。場所を取らないところもいい。君はKorgに熱中しているのかな?他のもののための時間はあるのかい?他に趣味はあったりする?

RDJ:(写真を見て)素晴らしい。他に見ないスピーカーのセットアップだな!俺は天井からぶら下がったスピーカーが大好きなんだけど、最初に自分で作ったスピーカーは、タールを詰めて、それを寝室の天井からナイロンの紐を使ってぶらさげたんだ。場所を取らないところもいい。君はKorgに熱中しているのかな?他のもののための時間はあるのかい?他に趣味はあったりする?

TT: 趣味に入るのかはわかりませんが、僕は多面体が好きなんです。もしかすると、だから僕はそういったスピーカーが好きなのかもしれない。あのスピーカーは3D構造だし、ワイヤーで作ると、それを完全に正常なものにするのは難しい。でも、僕は歪んだもののほうが好きなことがわかったんです。まあとにかく、多面体という名前はかっこいいですよね。

RDJ: それはいい。俺は幾何学が好きでたまらないんだ。“Dodeccaheedron,” というトラックを随分前に作ったんだけど、あれはお気に入りのトラックのひとつだな。最近、このスピログラフ・エミュレーターでプレイしていたんだ。でも、3Dのものは本当に面白いんだろうな。

TT: "Dodeccaheedron"というトラックを作るなんてあなたらしい!スピログラフを今自分が好きな理由にそのトラックがあるのかはわかりませんが、多分そうなのかもしれません。スピログラフは本当にクールですよね。少しリサージュみたいで、あれは一日中見ていられる。実は、XYレイヤーを手に入れたいと思っていて、超激しいものに火をつけてみたいと思ってるんだ。3Dでそれが出来る方法があればいいのに。

RDJ: それを最近研究しているんだ。:)

TT: もしかしたら、リン光性のスモークをデザイン出来るかもしれません。レーザーなや火をつけて、その線が空気中に残すとか。出来たらすごくクールですけどね。そのスモークの粒子がベースと共に動くんです。分厚いベースがあれば、光の振動の線を作ることが出来ますよ。

RDJ: 最高のアイディアだ。これを思い出すよ。

TT: 本当ですね。サウンド・ウェーブの広がりを視覚化できる方法のひとつになるかもしれません。だから、科学的使用とも言えるかも。サウンド・ウェーブだけではありません。空気の流れを研究するために、風洞の中で使うことも出来るかもしれません。僕たち、良いことに気がつきましたね。

RDJ:そうだね。

RDJ: 君の夢は何だい?

TT: 美味しいタバコを吸うこと。気分が優れない日やストレスが溜まっている時、タバコって不味いんですよ。その逆で、最高の経験をしたあとのタバコは上手い。だから、僕の夢は最高のタバコを吸うことです。タバコを吸っている間は時間が全て止まる。何かを認識する時であり、その前に起こったことは全てリアルなんですよね。

RDJ: それ好きだな。

TT: ちょっとバカげてますけどね(笑)自分のこれまでの答えを読み返すと、変なヴァイブを感じてきました!

RDJ: ははは。

TT: まあ、一度書いてしまったものは否定出来ませんからね。

RDJ: もし魔法みたいに何でもデバイスを作れるとしたら、それは何だと思う?これには君は答えてはいけないだろうということはわかってるんだけど、聞きたいね!

TT: タイムマシン、テレポートできるマシンですね。その2つは明確。それか、自分が望むだけ平行に自分を存在させることが出来るマシンですかね。それがあれば、自分自身のあらゆる可能性に囲まれながら、超異次元になることが出来る。パっと思いついたのはそれです。でも、かなり自己中ですよね!

RDJ: こんなことを考えながら眠りにつくんだ…そんなことが、もう既に起こっているのかもしれないね。

TT: ですね。まぁ、その答えはあなたがあなたが意味したことではないかもしれませんが。あなたの音楽活動のために、ライフロギングのデバイスを作りたいですね。東京を出るときに荷造りをしていて、自分が10代の時に作ってすっかり忘れていた音楽のMDを沢山見つけたんです。僕のカセットがどこにあるかがわかれば、もっと音源を見つけられたと思います。聴いていて殆どのものが逃げたくなるような出来でしたけど、それも未だに今生きている僕という人間の一部であり、自分の脳が形成するものは、それが何であれ消すことは出来ないんですよね。

RDJ: それすごくわかるよ。昔の作品もすごく役に立つはず。でもひとつ言えるのは、様々な個人的な理由で彼らの昔の作品を消してしまうアーティストが沢山いるということ。理由がなく、自分が作ったものを心から気に入っているアーティストたちもいる一方でね。

TT: また聴いてみたいと思う、今はなき過去に自分が作ったものはありますか?

RDJ: あるよ。俺が取り憑かれている考え方があって、もし自分で選んで記憶を消すことが出来るなら、色々なことを初めて経験することが出来る。ループから抜け出せなくなってしまっても、それを制限して再経験すればいい(笑)君の頭の中や製図板にはどれくらいの未来の製品のアイディアがあるのかな?

TT: かなり沢山ですね。でも、その全てが形になるわけじゃない。僕たち(まだKorgにいるチーム)は、常に袖の中に多くのアイディアを隠し持っています。全ては、そのうちの何がいつ作られるかなんです。

RDJ:君の仕事はストレスだと思う?俺はすごくストレスが溜まるんじゃないかと想像しているんだけど。一番ストレスになるのは何だい?

TT: そうですね、ストレスはバランスでした。締め切りが決まると、かなりの量のアドレナリンが出て、製作が始まり、リリースまで働き続ける。今はそのポジションから出て、落ち着いて振り返ることが出来るんですが、すごくフィジカルだったと思いますね。スポーツみたいだったし、かなり中毒性もありました。でも同時に、それを永遠にやり続けるわけではない。僕は運にも恵まれていて、様々な場面で新しい可能性を見つけることも出来ました。だから僕は、ハイペースでパワー全開なそれが自分が出来る唯一のことになる前にそれを止めたんです。Korgでは、本当に素晴らしい時間を過ごさせてもらいました。最高のチームがいたし、自由も沢山あった。あそこを出ることに決めたのは、仕事環境ではなく自分自身が理由でしたね。

RDJ: 君の一番の恐れとは?

TT: 同じことを何度も繰り返すこと。それから、自分にはそれしか出来ないと後に気がつくことですかね。

RDJ: なるほど。皆それと戦わないといけないんだと思う。特に歳をとるにつれてそれは増していくんだ。最近、自分の習慣を観察しては否定してるよ。それを自分で出来るなら気分がいい。

ハードウェア市場の経済に関してはわからないけど、古いものをアップグレードするよりも、新しい製品を発表することでの方が、会社はより金儲けが出来るんじゃないかと思うし、それが安全だと思う。

でも、考えずにはいられないんだ。未だに製作されている昔の製品をアップグレードし続けることで最高にカッコいいものを作って、それを長期に渡る会社の利益にすることは出来ないのかってね。これに関してはどう思う?

TT: 見方次第だと思いますよ。monotribeみたいに、長い時間をかけて大幅なアップデートを遂げ、そのすぐ後で生産されなくなったものもあります。なので、あなたの最初の要点は正しいのかもしれません。しかし、僕たちがアップデートから、そしてvolcaから学んできたことの量を考えると、それはすごく価値のあることだった。振り返り、過去の製品を評価するということは、かなり重要だと僕は思います。アップデートから生まれる利益もあるでしょうし、デザインをし直した方がいいものもあるでしょうからね。

RDJ: わかった。いつものごとく、君との会話は楽しかったよ。君の新しい試みが全てうまく行くことを願っているし、新しい国に移り住むというのはすごく勇敢だと思う。よくやった。また話そう。

最後に、良いリンク を送るよ!